この記事ではGEEKOM様から喜ばしいことに提供を頂き(感謝感激雨あられです)GEEKOM IT13を実機レビューします。
IT13はi9の13900Hという甚大な性能の高さを誇るCPUを搭載したミニPCです。
今回は比較的莫大な32GBのメモリとそこそこに膨大な2TBのSSDを積んだモデルを提供頂きましたので実機レビューします。
実際にレビューした感想としては、ベンチマークスコアではこれまで見たことがない数値をたたき出す一方で、CPU使用率が高くなるとCPU温度が100度に到達し、その後周波数が下がった状態になってしまう謎の現象も感じました(おそらく電力制限によるものと思われます。
2023/11/21追記、また別の13900H搭載PCに比べてもベンチマークスコアが低い傾向にあります。
筆者の見立てとしては、i9-13900Hの性能をフルに生かし切れていないようです。もうすこし筐体を大型化しても良いので、冷却能力がよりあがっていたらなお良かったです。
この記事ではベンチマークスコアをいろいろと測定したので参考になれば幸いです。
続いてGEEKOM公式サイトの商品リンクは下記です。
https://geekom.jp/products/nuc-mini-pc-it13-intel-i9-i7-i5
動作テスト
ライセンスの確認
いの一番にこの確認を行いました。
slmgr/dliでライセンスの種類を確認します。
まずセットアップ中にコマンドプロンプトをShift F10で開き確認したところ、OEMライセンスであることを確認しました。
念のためセットアップが完了してから再度確認してもOEMでした
あくまでも筆者は問題がなさそうだと判断しました。レビューしていきます。
クリーンインストール後もOEMライセンス
2024/01/15追記、IT13でインサイダープレビューを試すなど色々いじっていたら挙動が不安定になったのでクリーンインストールしました。
クリーンインストール後のセットアップ画面でShift F10からのSlmgr/dliを打ったところ普通にOEMライセンスとなっていました。
余談ですが
余談ですが、以前レビューしたGEEKOMさんのIT11とA5もOEMライセンスでした。
開封
開封画像はあまり撮影できませんでしたが、とりあえず書類や海外端子の電源ケーブル等が入っていることを確認しました
本体の外観
外観を見ていきましょう。
全体的な感想としてはこんなちんまりとした筐体にi9をいれて冷やせるのかということが一点、それと全体的にUSB-A端子が多くここはIT11からの進化点として翼賛したいです。
サイズ感としてはミニPCとしてはどちらかといえばスリムな部類に入ります。
まずは前面
側面と後面
側面です。
筐体をべたべたと触ったところ、金属特有のひんやりした感覚を感じなかったのでおそらくプラスチックかと思われます。
本体を分解し中身を取り出して扇風機を当ててみる
IT13の冷却能力をより向上させたらどうなるのかという素人判断で、内部の基板類を取り出した上でベンチマークを回し、サーキュレーターで全力冷却します。
本体を分解してみます。
まずは裏蓋を外します。裏蓋はネジで留まっていますが、かなり固いです。
筆者は電動ドライバーを使って外しました。
基板をの2つのネジを外して、基板とケースを分離します。断線しないように気をつけてゆっくり行いましょう。
完全に自己責任で、本体を取り出して扇風機でダイレクト冷却してみます。
結果として、Cinebench R23のスコアが12600と通常時より600上がった程度ですね。
ZOOMで使ってみた
Zoom用のPCとしてIT13を使ってみました。
さすがはI9の処理性能と言ったところで、タスクマネージャーは数%程度に抑えられていました。
各種ベンチマーク
Cinebench、Crystal Diskmark、FFXVベンチ、ドラクエベンチ、GB6.2といろいろなベンチマークを廻しました。
まずはCinebench R15です。
マルチスコアが1664とかなり高い数値が出ています
Cinebench R23及び2024のスコアはこちら
GB6のスコアはこちら。
Crystal Diskmarkのスコアはこちら。
FFXVのベンチマークスコアはこちら
簡易スペック表
いくつかのスペックを抜粋して紹介します。
ミニPC名 | IT13 |
メーカー名 | GEEKOM |
CPU | i9-13900H |
DGPU | なし |
メモリ | 32GB |
ストレージ | 2TB |
特記事項 | |
WIFI | WIFI6E対応 |
2.5GBE | 搭載 |
USB4 | 2つ搭載 |
メリット
i9-13900Hでとにかく強そう
IT13は13900Hを搭載しており、おそらく筆者がこれまで使用したことがあるPCのなかでも最高のCPU性能を持ちます。
Passmarkは29900と3万程度でしかもIntel製。
ミニPCやノートPCに搭載されることを考えればかなり強力な部類ではと思います。世代も13世代でかなり新しいですし。
2024/04/14追記、現時点においてもWindowsのミニPCに搭載されているCPUの中では最高級に性能が高いとPassmarkを参考にするとそう思います。
32GBメモリはとにかく面白そう
私が提供いただいたモデルはDDR4の16GBメモリを2つ、計32GBの甚大な量のメモリを持ちます。
事務作業では12GB~16GBあれば事足りると思うので、かなり強力そうです。
また、メモリにかなり余裕があり、さらにデュアルチャネルであることを考慮すれば内蔵GPUの性能もさらに底上げできそうな気がします。
追記 DDR4なのはちょっと気になる
DDR4のメモリとなっていますが、ここをDDR5にしてくれたら良かったと最近感じています。
DDR5にすることで内蔵GPUの性能をより引き出せる可能性があります。。
とある機会があり、N100かつDDR5の16GBメモリを搭載したマシンと、DDR4メモリを換装して8+16GBにしたIT13とでドラクエベンチを走らせたところN100マシンのほうがIT13よりもわずかにスコアが高かったです。
このような結果になった要因は様々にあると思いますが、その一つにGPU性能があるのではと筆者は考えています。
2TBのSSDのオプションも
最大2TBのSSDをデフォルトで搭載しています。
普通に使う分には256GBか512GBあれば十分なので、大量のデータを保存したい人には2TB良いかもしれないですね。
SSDが結構速度も速くてびっくりしました
内蔵グラボとしてはそこそこの性能
内蔵グラボで先ほどのFFベンチを回すと2339でした。
おそらく共有メモリの設定を変更するなどすればより性能が出る可能性もありそうですね。
WIFI6Eに対応
WIFI6Eに対応しています。
筆者の部屋ではWIFI6E対応ルーターを中継器的にアクセスポイント的に使っています。
しかし筆者がチェックした限りでは6GHZ帯を認識していないようでした。とはいえ、今後のアップデートや設定の変更でつかむモノと思われます。今後検証します。
WIFI6Eについて担当者さんからのアドバイス
WIFI6Eについてですが、GEEKOMさんの担当者様からWIFI6Eに対応させる方法とANT.zipというファイルを送付頂きました。
現在筆者の仕事が立て込んでおり、WIFI6Eのチェックができません。情報を皆様に共有させていただきます。なお、英語のまま記載します。
以下原文ママ
1.To link to a 6G network, two conditions are required
①6G WIFI AP
②ANT set country region:
Run powershell as administrator
Query
. \ant-QueryMCC
Set country region to USA
. \ant-SetMcc US
(will be US for two hours, powershell window will still work when closed)
とのこと。
2.5GBE搭載
2.5GBEを標準で搭載しています。
2.5GBEがあることでルーターやNASとのデータのやりとりを高速化しやすいです。
もちろんUSBから2.5GBEに変換するアダプタも打っていますが、デフォルトで対応してくれた方がユーザーフレンドリーだと思います。
USB4を2つ、だけでなくUSBType-Aも4つ搭載
確かにIT11はUSB4を2つ搭載していて、可能性を感じられましたが、USB-A端子の数が少ないというそこそこな欠点がありました。
しかしIT13はUSB-A端子を4つも搭載していて、一般的なUSBマウス、キーボード、カメラ、その他諸々を接続しやすいです。
拡張性の点でも改善されているようですね。すばらしい。
2023/10/15追記、USB-Aの数に誤りがあったので修正しました。
デメリット
CPUの温度が100度に到達することも
IT13としてちょっと気になる点としてあげられるのは排熱が苦手そうと言う点です。
室温が24度ぐらいの状態でCinebench R23のマルチなどかなり負荷が高い処理をさせるとCPU温度が100度ぐらいに到達してしまいます。
ちなみにミニPCと似ている点が多いノートPCのCPUの適正温度は70度から80度程度とされることが多く、いくら何でも100度は高すぎると思います。
他のミニPCの場合冷却機構が強化されていたり、そもそもCPUがあまり発熱しないものだったりと対策がされています。
しかしIT13はCPUが100度に到達してしまうようなのでここは気になります。
おそらくそこまで室温が高くなかったり、作業の負荷がかからない、或いは高負荷な場面が長時間持続しない場合ならさほど問題にはならないと思いますが、ヘビーユースでは気になるところです。
それとIT13はケースの熱伝導性がそこまで高くなさそうなので、本体外側からファンを当ててもさほど冷えないと思われます。
担当者様からの情報によると、IT13には通常の場合はCPUの温度はさほど高温にならないとのことです。
ただし、温度があまりにも高くなるとファンの回転速度が上がります。それでも冷え切らず、CPU温度が高い状態が一定数続いた場合はCPUの周波数を下げて温度を下げるとのことです。
参考になれば幸いです。
i9-13900Hの性能を生かし切れない場合も
Cinebench R23でマルチ性能のテストをすると、一瞬だけCPU使用率が100%となりますが数秒後に80%程度となってしまいます。
前項で説明したようにCPU温度があまりにも高くなると周波数が下がってしまうようです。
なので負荷によっては長時間のフル性能を出し切ることがむずかしいかもしれません。
具体例としては、このIT13のCinebench R23マルチスコアは12000程度でしたが、他のサイト様等のデータを参考にすると、15000~18000ぐらいは出るようです。
筆者のようなPC初心者には本体を改造してCPUをしっかり冷えるようにするのはむずかしいと思うので、CPUをより冷やすように改良するのもむずかしいと思います。
なので、個人的にIT13はもう少し本体を大型化するなどしてCPUをしっかり冷やせるようになっていたほうが良かったかなあとは思いました。
また、素人考えですがIT13にはI9モデルだけでなくI7やI5のモデルもあります。CPUのグレードが下がれば発熱量も減らせると思うので、より冷やしやすくなる可能性もありますね。
電力制限がかかっているとのこと
とある動画チャンネルさんによると電力制限がかかっているために性能を出し切れていない場合があるとのことです。
IT13をあるソフトで設定を変更したところ、消費電力や発熱は増えるもののベンチマークスコアは数割向上するとのことです。
ファンが回り続ける
2024/01/15追記、とても愛用しているIT13ですが、冬の室内でスリープ状態でもファンが回り続けます。
BIOSから温度設定をいじくればファンを止められると思い試してみましたが、それらしき設定は見つかりませんでした。
またBiosにはファンの設定はありそれらしきモードにしてみましたが音は鳴り止まず。
その他のポイント
HDMI×2とUSB4×2でクアドラプルディスプレイが可能
まずHDMIとUSB4を2つずつ使うことでクアッドディスプレイが可能です。
IT11はHDMIが1つ、USB4が2つ、そしてMini Displayportが1つなので、人によってはMini Displayport用のケーブルを持っていない場合に使いにくい可能性がありました。筆者がそうでした。
しかしIT13ではMini Displayportが1つ消え、ノーマルサイズのHDMI端子が1つ増えているので個人的には使いやすいアップデートだったと感じています。
買いなのかの考察
2023/10/13時点ではAmazonには13900Hを搭載したミニPCはなさそうなので、ノートPCと比較することにしようとしたら大抵のノートがグラフィックカードを搭載していていて比較がとても難しいです。
個人的にはこれだけのメモリとストレージを積んでいれば10万円を超えていても選択肢にはなると思います。ただ、CPU温度が一時的に100度を超えてくるなど排熱不足な印象は否めません。それが原因で長期的なベンチスコアも下がってしまう印象です。そこがちょっと気になります。
2023/11/27追記、ストレージについて
M2 SSDが搭載可能なスロットを2つ搭載していますが、片方が2242 SATA向けとなっていて、2つのM2 NVME SSDを搭載することはできなさそうです。
2023/11/07追記、現在の使用方法
IT13をサブPCとして使用中
筆者は現在WindowsのPCを5台持っていて、あまりにも多すぎるために役割や性能に基づいて整理しました。
IT13としてはメインPCの座はガレリアの数年前のゲーミングノートに譲りましたが、サブPCに任命することに。
基本はガレリアのゲーミングノートの方に任せています。簡単に持ち運べますし、Ryzen7-4800HRTX2060を積んでいて筆者の布陣の中では最大のGPU性能を持ちますし、ゲームや動画編集にも使えますし。
IT13は処理に時間がかかる場合のバックアップ用として使うことになりました。
また、IT13はSSDも2TB積んでいるので、データを大量に保管するためにも使いやすそうです。
そしてIT13はIntelのCPUを積んでいることも評価が高いです。ROM焼きなどでどうしてもIntelのCPUじゃないと互換性の問題が発生することがごく希にあるようなので。
あとがき
参考になれば幸いです。
個人的には13900Hの性能を完全に生かし切れていない印象なので、よりCPUの消費電力量が少なさそうなi7やi5のモデルのほうが良いのではと感じました。
そこだけがきになりますが、ライトな用途や数秒程度で終わる短時間な処理などには向いているかもしれません。