この記事では、Minisforum様より提供をいただいたMinisforum BD795Mの使用感をもとに、買うべきかを書いていきます。
個人的には、自作NASや大容量のストレージが必要なPCを作りたい人などに良いかなと思いました。
一方で、ストレージがそこまで必要でない方で、さらに高速なデフォルトで付いているUSBポートや規格の新しいPCIEスロットが欲しい人や、Micro ATXでなくMini ITXが欲しい人には多少高くてもBD795I SEがおすすめです。
筆者個人としては、同時期に発売されたCPUつきMini-ITXマザーのBD795I SEのほうが好みです。
なお、BD795Mを用いた自作PCの組み立ての記事はこちら。
また、BD795を用いた自作PCの性能レビュー記事はこちら。比較では、CPUマルチ性能を測るベンチマークでは155Hや7940HSを積んだミニPCの2倍のスコアとなっていました。
メリット
メリットは以下のようになっています。
- CPUとマザボが一体になっている
- CPU性能がとても高い上、CBPをオフにすれば効率重視にできる
- コスパが良いらしい
- SATA端子で大容量なストレージを搭載可能
- 単体で2つのディスプレイに映像出力可能
モバイル向けCPUとマザボが一体になっている
普通マザボとCPUは別々に販売されているものですが、BD795Mはモバイル向けハイエンドCPUである7945HXを搭載したマザーボードとして販売されています。
マザボとCPUを選ぶ手間や、組立時の失敗を減らすことができそうです。
CPU性能がとても高い上、CBPをオフにすれば効率重視にできる
BD795Mには7940HXが搭載されており、先述の性能検証記事において、Core Performance Boostがオンになっている状態で、155Hや7940HSを搭載したミニPCの2倍程度のCinebench R23 マルチベンチマークを叩き出せています。
しかし、Core Performance Boostをオンにすると、温度は室温15度程度の状態で93度程度にまで上昇し、CPUパッケージ全体の消費電力は102Wも消費します。
そこで、電力や発熱を抑制したい方もいらっしゃると思います。
その場合、Core Performance Boostをオフにすればスコアは半分程度になるものの、CPUパッケージ電力消費を1/3程度まで抑制でき、ワッパは1.5倍程度になり、温度も下げられます。
BD795Mはコスパが良いらしい
筆者は自作PCパーツの値段にあまり詳しくないのですが、BD795Mのネットの評判を見る限り、コスパがいいというご意見がいくつかあるようです。
単体で2つのディスプレイに映像出力可能
BD795Mはマザーボードなしに単体で2つのディスプレイに映像出力可能です。
7945HXの内蔵GPUはRadeon 610Mといって、内蔵Intel ArcやRadeon 780Mなどに比べてとても弱い内蔵GPUです。
しかし映像出力が可能なため、GPU性能は必要ないが、最低限映像出力のできるマシンを作りたいときにいいかもしれません。
特にPCIEスロットにグラボではなく10GBE以上のネットワークカードなどを接続したい際に役立つかと。
その他の点
その他の点はこんな感じです。
- Micro ATXで、ケースのサイズによっては向かないかも
- Wifiも搭載できるが、技適周りが気になる
- SODIMMメモリを使用するので若干割高?
- PCIEスロットは1つ
Micro ATXで、ケースのサイズによっては向かないかも
マザボのサイズは規格で決まっていて、よく使われる3つが大きい方からATX、Micro ATX、Mini ITXとなり、Micro ATXはその中では中間のサイズとなっています。
BD795MのようなMicro ATXマザーも小さいといえば小さいのですが、より小さいPCを作りたい場合には、Mini-ITXのほうがいいかもしれません。
またケースはMicro ATXに使えるならMini ITXにも使える場合が多いため、ケースの選択肢もMini-ITXのほうが多いと言えるでしょう。
Wifiも搭載できるが技適周りが気になる
M.2 2230の端子があり、カードとアンテナがあれば拡張できるのですが、技適に違反することになりそうなので若干微妙です。
筆者としてはこのマシンは10GBE有線専用にする予定で、BluetoothもWifiも接続しない予定なので困りませんし、もし必要になってもUSB接続のアンテナを用意すればいいと思うのであれではあるのですが、困る場合もありそうです。
その他にも以下のようなポイントが気になりました。
PCIEスロットとM.2 SSDスロットがかなり近い位置にある。
グラボなど、搭載するPCIEカード次第では、M.2 SSDのヒートシンクと干渉したり、冷却を阻害する可能性がありそうです。
ただし、PCIEスロット周辺にM.2 SSDスロットがあることで、ケース側のPCIE用スロットとM.2 SSDスロットが近くなり、M.2 SSDスロットに指すタイプのNICやライザーケーブルを使う場合にはメリットになるかもしれません。
PCIE拡張スロットは1つ
Micro ATXマザーボードの一般的な拡張スロットの数は1つだけらしいですが、物によっては2つあるようです。
もちろんNVME SSDスロットから無理やり拡張することもできますが、できれば普通のPCIE拡張スロットが1つあると拡張の幅も広がりますよね。
LANは2.5GBEなど、有線LAN周りが微妙?
もちろんPCIEなどで10GBE以上のカードを拡張したり、唯一のUSB3.2 Gen2ポートに5GBE USBアダプタを指したりもできますが、デフォルトではあまり有線LANが強くないと感じました。
USB3.0(5Gbps)しかなく、USB周りの接続性には乏しい印象。
マザボにはUSB3.0しかありません。
そのため、USB3.2 Gen2(10Gbps)などを接続したい場合にはPCIEから拡張する必要があり、若干微妙です。
BD795I SEと比較
BD795MとBD790I SEとを比較してみました。
BD795M | BD795I SE | |
CPU | 7945HX | 7945HX |
マザボ規格 | Micro ATX | Mini ITX |
拡張PCIE | PCIE4.0×16 | PCIE5.0×16 |
M.2 SSD | PCIE4.0 2つ | PCIE4.0 2つ |
SATA | 2つ | なし |
USB3.2 Gen2 | なし | あり |
単体映像出力 | 2つ | 3つ |
価格(投稿時点) | 約6.4万 | 約6.8万 |
BD795MのほうはSATA端子があり、価格が4千円程度安いです。
一方で、Mini-ITXマザーゆえにコンパクトで、多くのケースで使えて、PCIEの規格が新しく高速で、USB3.2 Gen2もあるBD795I SEのほうがおすすめかと思います。
評価
ストレージ周りの拡張性は高いが、USBが弱い
M2スロットが2つ、SATA端子が2つついており、ストレージ周りの拡張性はある印象です。
一方で、USBは貧弱で、最速の端子でも5Gbpsのものしかありません。
自作NAS用のマザーボードとしては悪くない印象
HDDを搭載したい場合には悪くないかもしれません。
個人的にはBD795i SEのほうが好み
自作NASを作るのでなく、さらに大容量のストレージを本体内部に作るのでなければ、BD795I SEのほうがいいのではと思います。
こちらはMinI ITXでBD795Mよりもコンパクト、さらにPCIEは5.0×16となっており、BD795Mよりも高速です。
さらに最近発表されたRTX5090、5080、5070、5070 TiはすべてPCIE5.0×16での接続ですから、PCIE5.0×16で接続できるBD795I SEを使うことでボトルネックになりうる要素を減らすことができる場合があるでしょう。
また、BD795I SEはUSB3.2 GEN2を搭載しており、5GBEのアダプタや高速な外付けストレージを接続可能です。
値段はBD795Mよりも7千円ほど高く、SATA端子はありませんが、個人的にはこちらですかね。小ささは正義です。
余談
TrueNAS導入時にはCore Performance Boostを切ったほうがいいかも
以前提供を頂いた790S7という7940HX搭載のPCにTrueNAS Scaleを積んでいると、Core Performance Boostが原因で、起動ができなくなったことがありました。
7945HXでも同じような現象が起こる可能性があるので、念の為記載します。
最終的なマシンの構成
BD795Mを使った動画編集用マシンを作ると息巻いていましたが、以前提供をもらったBD790I SEというBD795I SEの7940HX版のようなマザーで組み直すことにしました。
Micro ATXよりMini ITXのほうがサイズをコンパクトにできますし、USB3.2 Gen2もありますし、良さげなんですよね。
あとがき
参考になれば幸いです。
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