2025/01/27追記、今後も使い続けて検証を続ける予定ですが、ある程度調べたので一旦これで完成とします。
この度自費でUGREENのオールフラッシュNAS「DXP480T Plus」を購入し、レビューします。
なお、現時点ではまだ検証が終わっていない部分もありますが、とりあえず投稿させていただきます。
また、今回検証するDXP480T Plusと、日本発売予定のDXP2800などとは同じOSとなっているので、DXP480T Plusの使用感がわかれば、DXP2800などの使用感もある程度わかるかと思います。
レビューに至った経緯
コスパが神
UGREEN NASの日本発売モデルは早割価格では40%引きになるらしいので、ハードウェア構成を考えれば相当に安くなります。
まだ検証されていない細かい点を調べたい。
例えばQNAPやSynologyのNASや、UbuntuやTrueNASといったOSなど、調べれば日本語の情報が出てくることは多いです。
しかし、UGREENのNASについては細かい挙動がわからないというのが正直なところです。
もちろん英語でも調べているのですが、調べきれていない可能性もありますし、もしかしたら中国語で調べればもっといい情報が分かる可能性もありますが。
ちなみに以下のようなことを検証したいです。
- Thunderbolt4端子はP2P接続やThunderbolt TO 10GBEアダプタの接続に対応しているか(検証済み)
- Dockerアプリの使い勝手
- SMB.confは書き換えできるか、SMBマルチチャネルには対応しているか(一部検証済み)
- UbuntuやZimaOSは導入できるか
スペック紹介と特徴
簡易スペック表
DXP480T | |
海外価格日本円 | 80k程度 |
CPU | 1235U |
Passmark | 13k |
メモリ | 8GB |
スロット | DDR5×2 |
M2SSDスロ | 4 |
USB4TB4 | TB4×2 |
10GBE | RJ45×1 |
独自NASOS | UGOS Pro |
メーカー所在地 | 中国 |
話題沸騰中のUGREENのNASの日本未発売モデル
UGREENのNASは2025/01/20現在非常に話題沸騰中です。
コスパが良く、使いやすそうですから、当然のことと思います。
DXP6800 Proにも搭載されている1235Uの性能は?
DXP480T Plusや日本発売予定機種であるDXP6800 ProにはCPUとして1235Uが搭載されています。
CPUの性能が分かりづらい方もいらっしゃると思うので、下記に人気のエントリーCPUのIntel N100やCore Ultraの1世代前的な立ち位置のハイエンドモバイルCPUの13900Hとスペックやベンチマークを比較するとこんな感じ。
N100 | 1235U | 13900H | |
コアスレッド数 | 2C4T | 10C12T | 14C20T |
CBR23 シングル | 902(1.0) | 1668(1.8) | 2016(2.2) |
CBR23 マルチ | 2963(1.0) | 7852(2.7) | 18760(6.3) |
Passmark | 5466(1.0) | 13681(2.5) | 29000(5.3) |
GB6 OpenCL | 3274(1.0) | 11516※1(3.5) | 15998(4.9) |
TDP | 6Wなど | 15Wなど | 45Wなど |
※1 他のGeekbench6スコアは6.3.0版ですが、これのみ6.1.0版の数値を使っています
※2 CBR23はCinebench R23のこと、GB6はGeekbench6のことです
※3 ベンチマークスコアの()はIntel N100と比較した際の倍率(小数点以下第二位四捨五入)を表してます。
※4 ベンチマースコアは私自身が作成した記事やベンチマークサイトの数値を使っています
こうしてみると、1235UはN100の1.8倍のシングル性能、2.5倍程度のマルチ性能、3.5倍のGPU性能を持っています。
特にGPU性能の差が大きいですね。NASのGPUは、機械学習やハードウェアアクセラレーションに使われることが多いので、そうした用途でGPU性能が活かせる可能性が高いです。
ちなみにN100の後継機種ともいえるN150のベンチはGPUがn100よりも若干高いものの、そこ以外はほとんど一緒です。
更に余談ですが、UGREENはCore Ultra搭載のNASも発表されているらしいです。Core Ultraは13900Hよりも高いGPU性能を持ち、さらにNPUも追加されています。
余談1 UGREENのNASは2022年頃から中国では登場していた?
ちなみにUGREENがNASをグローバル展開しだしたのが2024年の初め頃でしたが、ちょっと調べてみると2022年の終わりごろにUGREENのNASを紹介している中国語のニュースがヒットしますし、UGREENの中国語のHPには2021年に発売されているっぽい製品もあります。
ちなみに中国メーカーですと、UGREENやTerramaster等の他にORICOやLenovo、XikestorなどのメーカーもNASを出しているようです。
余談2 国内で発売されていないNASを国内で使用して問題ないか?
まず、技適についてですが、一般的なNASは、ONUやルーターのような機器でないことと、それ自体が無線の電波を飛ばすものではないことから、技適は不要と考えられます。
しかし、一部のNASはWifi機能がある場合もあるので、多分大丈夫だと思いますがその場合は心配ですね(なお)
スイッチングハブみたいなものかと(ただしスイッチングハブにも技適が必要な場合があるとのことですが、一般家庭には問題ないはずです。多分。)
気になるのはPSE認証ですが、ここはどうしようもないです。諦めています。
着弾・外観・分解など
配送について
2025年1月20日(月)の早朝にジンドンで購入しました。
UPSによって同月24日(金)に日本の輸入通関が終了し、その翌日の25日(土)の午後にヤマト運輸によって筆者宅(田舎)に配達されました。いやー速い。なお、税金の支払いに受取時に行いました。
下記は外箱です。
箱の外観
先述の外箱を更に開けるとこんな感じ。
この箱の中に更に箱があります。
付属品
付属品は電源アダプターや説明書の他に、LANケーブルやSSDのヒートシンク用みたいなパッド、小型のドライバーなどが入っていました。
UGREENのNASのエラさを感じたポイントの一つが電源アダプターで、まるでPD充電器のような佇まいになっています。
また、電源アダプターは日本のものと同じタイプで、いわゆる「A型」です。中国のコンセントは2種類あるらしく、主流なのは日本と同じタイプなんだとか。
なお、中国の通販で買ったものであるために、PSEはありません。20.0V7.0A140Wのもののようです。
本体の外観
本体の外観を見ていきます。
サイズについて、ミニPCや他社のNASと比較するとこんな感じです。
また、Xiaomi 11Tというスマホとサイズを比較するとこんな感じ。予想以上にでかいと思います。
端子類はこんな感じ。
分解
それでは、メモリとSSDを増設するために本体を分解していきます。
まず、ゴム足を4つほど外します。ゴム足は粘着テープなしでハマっています。
続いて、ネジを2つ外すと、SSDにアクセスすることができます。
さらに、ネジを4つ外すと、基板が顔をのぞかせます。
驚いたのがWifiカードが刺さっていることです。AX211というカードで、Intelの第10世代以降専用のWifi6E対応カードです。これは技適違反になりますね。
技適が気になる方は、自己責任でこのカードを外してしまってもいいかもしれません。
筆者は後ほど外すかもしれません。
また、Wifiカードということは、BE200のカードなどに差し替えればWifi7にも対応させられると思います。(技適違反)
いやーまさかWifiカードが付いているとは。
それはそれとして、DDR5メモリが2枚搭載可能です。
最初からついているメモリを外すと、SAMSUNGのSODIMM DDR5 4800 8GBメモリでした。
メモリは積めるだけ積んでおこうということで、下の16GBメモリ2枚に差し替えています。
ちなみに先ほどメモリの横にあった青いサーマルパッドが貼られているものは、ブート用のSSDとのことです。
TerramasterのNASにもブート用のUSBメモリがついていますし、NAS用OSのTrueNASにもブート専用のドライブが必須だったりするので、NASデバイスあるあるかもしれませんね。
また、DXP480T Plusは裏蓋がファン搭載ヒートシンクになっていて、SSDとの間にサーマルパッドを挟んで冷やすタイプです。かなり独特です。
先ほどの付属品のサーマルパッドではなく、別のヒートシンク用のサーマルパッドをそのまま流用しています。
じゃっかんきつい気もしますが、ネジを閉めれば入ります。
なお、DXP480T Plus純正のサーマルパッドはかなり分厚く、今回使用したものよりも分厚いです。
初回インストール
最初のインストールはWindowsで行いました。日本語にも対応していますね。
電源アダプタとLANケーブルをUGREEN NASに接続し、電源を入れます。
そして、WindowsのUGREENアプリからインストールを氏ていきます。
流れに従っていくと、インストールが終わり、画面が出てきます。
通常NASの操作はブラウザから行うものですが、ブラウザだけでなく、アプリからもこのような画面で操作が行えます。
ストレージ関係について
RAIDとファイルシステム
確認できるRAIDは、Basic、JBOD、RAID0、RAID1、RAID5、RAID6、RAID10でした。
筆者個人としてはどうせ外部にバックアップ取ると思うので、復旧できること前提で冗長性0かつ容量効率が最大なRAID0やRAIDなしがおすすめです。
復旧を楽にしたいならRAID5やRAID6など冗長性があるものが良いでしょうか。
また、ファイルシステムはExt4とBTRFSの2つから選べます。
筆者としてはExt4を推したいです。
外付けHDDにSSDキャッシュを適用できない。
試してみたもののそれらしき設定はなさそうでした。
転送プロトコルやSMB関係
FTPやNFS、Rsyncなども選べる。
UGREEN NASYNCの転送プロトコルとしては以下のものがあります。解説はざっくりです。
- 多くのデバイスで使えて汎用性の高いSMB
- サーバーなどにファイルを転送するときなどに使うFTP
- 主にLinuxシステムでのファイル共有に使われるNFS
- LinuxやMacなどの差分バックアップなどに使われるRsync
その他にもWebdavにも対応していますし、SMBを使ったTimemachineの作成にも対応しています。
iSCSIには対応していない模様です。
SMBの設定について。
SMB設定は色々選べます。
なお、UGREEN NASがWindowsのPCのエクスプローラーから見つからないという場合はこちらのいwsdd2を導入するか、IPアドレス直打ちしましょう。また、SMBでTimemachineを取ることもできます。
また、UGREEN NASのOSはDebianベースらしく、etc/sambaディレクトリにSMBの設定ファイルがありました。
余談ですが、ネットの情報いわくTerramasterのNASはOpenwrtベースらしいですね。
スピードテスト
簡単なスピードテストを行いました。
- WindowsミニPCからにUSB4 To 10GBEアダプタを接続し、10Gのスイッチングハブなどを介してDXP480T Plusに接続
- DXP480T Plus上のエッセンコアクレブのSSD1枚の上にUGEXT4上のSMB共有フォルダを作成
- WindowsミニPCからSMB共有フォルダにCrystal Disk markとAtto Disk Benchmarkのスピードテストを行います。
ちなみにAttoDiskBenchmarkはCrystal Diskmarkよりもさらにいろいろなファイルサイズごとの(おそらくシーケンシャルの)転送速度やスループットを計測できる便利なアプリです。
また、比較のためにNASのTerramaster F8 SSD Plusと、ミニPCにMinisforum MS-01にUbuntuを入れたもののNVME SSD上の共有フォルダのデータも用意しています。
なお、MS-01×Ubuntuのみ10GBE×3をLACPで束ねているためか、速度が不安定なため、検証タイミング次第では速度が変動する可能性があります。
Crystal Disk Mark
DXP480T Plusの速度はこちら。
MS-01×Ubuntuの速度はこちら。
Terramaster F8 SSD Plusの速度はこちら。
ざっと見るとF8 SSD Plusがかなり優秀ですね。
AttoDiskBenchmark
DXP480T Plusの結果はこちら。
MS-01とUbuntuの結果はこちら。
F8 SSD Plusの結果はこちら。
UbuntuはLACPのせいか、Writeのシーケンシャル速度で遅れを取っています。
また、AttoDiskBenchmarkはDXP480Tが良い結果を出しているように見えます。
Macからの接続速度
M4 Mac miniの内蔵10GBEポートから接続して別のアプリを走らせるとこんな感じです。
小さいファイルの転送速度についてその他
DXP480T Plusに画像など小さいファイルが大量に入ったフォルダを転送したところ、1秒に5ファイル程度など転送速度が非常に遅くなることがありました。
UbuntuやTrueNASではそのような挙動は起こりにくかったので、ここはUGREENのNASの欠点かと思いました。なお、ASUSTORやTerramasterのNASでも細かいファイルを大量に送ると速度が落ちることもありました。
Timemachineについて
MacのTimemachineも取れます。
設定方法としては、Bonjourをオンにして、共有フォルダにTimemachineを許可させます。
その後、SMBサービスを再起動させたところ、Timemachineが取れるようになりました。
ネットワーク関係
ネットワーク関係の情報をまとめています。
もちろんIPアドレスの固定も可能です。
追加のUSB接続の有線LANアダプタを認識するか?
UGREENのNASはUSBで接続するNICを認識するのかを実際に10G、5G、2.5Gのアダプタを用意して検証してみました。結果はこちら。
- センチュリーのUSB4 To 10GBEアダプタ(AQC107?チップ)→10Gbpsでの認識を確認
- WisdpiのUSB3.2 Gen2 To 5GBEアダプタ(Realtek RTL8157チップ)→認識するも5Gbpsでなく700Mbpsでの認識
- MiwakuraのUSB3.2 Gen1 To 2.5GBEアダプタ(Realtekチップ)→2.5Gbpsでの認識を確認
まず、UGREEN NASはUSB接続の有線LANアダプタを認識していることがわかりました。
10Gアダプタを認識してくれているので、今回のDXP480T Plusだけでなく、日本発売予定モデルのDXP6800 ProのようなThunderbolt4搭載NASの10GBEを増やすことができる可能性が高いです。
5Gアダプタは速度がおかしかったものの認識自体はしているので、改造してRealtekドライバーを導入する、あるいはUGREENがアップデートでRTL8157を対応させてくれれば、今回の5GBEアダプタを認識する可能性はあります。
もし5GBEアダプタに対応すれば、日本発売モデルで最安モデルかつ2.5GBEしか搭載していないDXP2800でも2倍の速度が出せる可能性があります。
また、2.5GBEアダプタには現時点でもちゃんと対応しているようなので、DXP2800のような2.5Gを1つしか搭載していないモデルでも、LANを増設してSMBマルチチャネルやリンクアグリゲーションでの速度向上が可能になる公算が大きいです。
ちなみに、Thunderbolt4から25GBEを生やすアダプタも18万円ぐらいですが存在するようですね。はい。
LACPなどのリンクアグリゲーションにも対応
見づらくて申し訳ないのですが、自動ロードバランシング、アクティブバックアップモード、ポーリングモード、XORバランス、動的リンクアグリゲーション(LACP)に対応しています。
最初にスイッチの設定なしに自動ロードバランシングにしたところ不安定になりました。
2025/01/26追記、さらにポーリングやLACPなどのリンクアグリゲーションも試したのですが、接続できなくなったり、Windowsのエクスプローラーから見えなくなったりと極めて不安定になってしまいました。
筆者のXikestorのスイッチングハブに原因がある可能性もあるのであくまでも一例として捉えていただけると幸いです。
ファイアウォールも設定可能
ファイアウォールで、プライベートIPアドレスのみからしかアクセスできないような設定にすることも可能です。
SMB Multichannelが使える
UGREENのNASはSMBマルチチャネルに対応しています。
SMBマルチチャネルは2つ以上ののNICを束ねてSMBの転送速度を向上させる機能です。Windowsなども対応しています。
リンクアグリゲーションとの違いとして
- SMBのファイル転送時のみ効果を発揮する
- シーケンシャルアクセスが向上するが、ランダムアクセスは低下or変化なしな傾向がある
- スイッチ側に特に設定が必要ない
等が挙げられます。
5GBE接続のWindowsPCからDXP4800 PlusにCrystal Diskmarkを使って、速度を検証しました。
DXP4800 Plus側にUSB3.0 To 2.5GBEアダプタを2本挿して2.5G2つのSMBマルチチャネルを作成した場合(画像1枚目)と2.5GBEアダプタを1本挿した場合(画像2枚目)とで測定しました。
Thunderbolt Networkingは使えなさそう。
ThunderboltやUSB4同士で機器を直結すると、ネットワーク接続できる場合があり、20Gbps等の速度でデータの転送ができる場合があります。いわゆるP2P通信というやつですね。
試しにM4 Mac miniとDXP480T PlusをThunderbolt4対応ケーブルで直結してみましたが、DXP480T Plusにはなんの反応もありませんでした。
一応Mac側にはThunderboltブリッジの表示が出ていました。
また、Windows11でUSB4を搭載したミニPCのUSB4とDXP480T PlusのThunderbolt4とを接続しましたが、こちらはWindows側にも反応がありませんでした。
詳細不明のブリッジ機能
詳細を調べてもわからなかった機能の一つがブリッジ機能です。
一般的なブリッジ機能では仮想環境に使ったり、PCをスイッチングハブにしたりできます。
しかしUGREEN NASYNCのブリッジ機能は情報が多くなく、正直よくわかりませんでした。
もしスイッチングハブ的な使い方ができるのなら面白そうだと感じました。
ちなみにQNAPのNASではNASをスイッチングハブにできる仮想スイッチ機能がある模様です。
Wifiも使えるみたい
Wifiも使えるようです。2.4Ghz帯と5Ghz帯は認識していましたが、6Ghz帯は認識していないようでした。
クライアントアプリの使用感を検証
クライアントアプリがあるプラットフォーム一覧、Ubuntu用アプリはない
UGREEN NASYNCシリーズのクライアントアプリがあるプラットフォームは以下のとおりです。(2025/01/26現在)
- Android
- Android TV
- iOS
- Apple tvOS
- macOS Intel x86版
- macOS Apple M版
- Windows10/11 64Bit版
- Windows10/11 32Bit版
Apple TVやAndroid TVには対応している一方で、Ubuntuアプリはありません。
ちなみにASUSTORにはAndroid、iOS、Mac、Windows用の4つのクライアントアプリがありますし、Terramasterはその4つに加えてUbuntu用のクライアントアプリがあります。
Android TVのUGREENアプリでは、NAS内の動画などを再生できる機能があることを確認しました。
MacやWindowsのクライアントアプリの使用感
ASUSTORやTerramasterのクライアントアプリは、一般的にデータの同期や初回設定などのためなどだいぶ限定的な用途に使われていました。
ブラウザから管理画面を出す感じなんですよね。
しかし、UGREENのNASは管理画面そのものといった感じで、ほとんどブラウザとクライアントアプリでできることが変わりません。
クライアントアプリから使える「Sync & Backup」の機能と改善してほしいところ
アプリに「Sync & Backup」というアプリがあります。
Macの場合、クライアントアプリから操作するのですが、MacとDXP480T Plusとでフォルダを選んで同期させられます。
これだけなら同期アプリはいくらでもあるのですが、「Sync & Backup」は双方向同期だけでなく、MacからDXP480T Plusの方向でだけ、あるいはその逆のような単方向同期も可能です。
また、変更を監視して同期する機能もあります。
とはいえ、それだけならSyncthingでもできます。SyncthingはPCだけでなくDockerやスマホでも使えてかなり便利です。おまけに無料です。
「Sync & Backup」の機能の一つに除外したいファイルを指定できるフィルターがあります。
この機能をさらに改善して、除外でなく含有したいファイルのフィルターがほしいと思います。そうすれば、画像と動画のみのファイルを同期したり、サブディレクトリ下のファイルを除外してルート直下のファイルのみバックアップできたりするはずです。
また、少なくとも2つ以上のバックアップタスクでPC側の同じ同期フォルダを使うことができません。
例えば筆者はMacのダウンロードフォルダをそのうちの画像転送のみと全ファイルの丸ごとバックアップとで分けたかったのですが、こういった事はできないようですね。
2025/02/02追記、Sync機能だけでなく、Backup機能もあるようで、後者を使うことでMacの任意の同じフォルダを複数のバックアップタスクのソースとして使うことができることを確認しました。誤情報を訂正してお詫びします。
同期アプリってMacにもWindowsにもグラフィカルな良い無料アプリがあまりなく、BunbackupやRobocopyやRsyncやSyncthingを使わないといけなかったりするので、UGREENさんには是非もっと改善してほしいところですね。
Androidアプリについて
Androidアプリの使用感を調べてみました。
別のメーカー(ASUSTOR、Terramasterなど)のNASはモバイルアプリが複数あるのでですが、UGREENのNASのアプリは現時点で1つだけです。
また、同期アプリを使ってみると、自動で画像と動画をバックアップできる設定が使えますが、Macのときのような任意のフォルダを指定したり、画像や動画以外のフォルダもバックアップしたりといったことはできません。
個々のNASアプリを検証
アプリストアのアプリはどんな物がある?
UGREEN NASYNCには、「アプリ」アプリがあります。現時点では、以下のアプリを導入できるようです。かなり少ないです。
現時点で、FirefoxやSiyuanなどのOSSもあるようですが、いかんせん数が少ないです。
具体的には、以下のようなアプリが2025/01/25時点ではありません。
- Home Assistant
- immchi
- Nextcloud
- RustDesk
- Memos
- Jellyfin
ただし、こうした現時点ではないアプリも、Dockerアプリを使えばインストールできるかと思います。
Video Centerアプリでは、本体からHDMIでモニターに映像出力できる
Video CentorはNAS上のビデオを再生できます。
ただ、HDMIの用途としてはそれぐらいしかないので、HDMIを活かすためにも以下のような機能があるといいかもしれません。
- HDMIやキーボードやマウスを接続することで、管理画面を映像出力し、直接操作可能になる
- YoutubeやAmazonプライム、ニコニコ動画などのストリーミングアプリをキャストできるようになる。
また、Video Centerアプリを使わなくても、PCやスマホからファイラーアプリを使えば映像を見ることができるでしょう。
スマホではOSにもよりますが、ファイルマネージャープラスやES File Explorerなどが使えます。
タスクマネージャーについて
タスクマネージャーアプリでCPU、GPU、メモリ、ネットワークやストレージのリソースの使用率などを確認できます。
意外と驚いたのが、UGREENのNASはGPUの使用率も確認できる点ですね。
SynologyのNASではGPU使用率も確認できるらしいですが、TerramasterやASUSTORではGPU使用率を基本確認できなかったはずです。
フォトアプリについて
フォトアプリがあり、ローカルAI機能があります。
- 人物の認識
- 文章の認識
- 類似または重複した画像の認識
- シーンや物体の認識
- ペットの画像の認識
などなど。また、画像に写っているものを検索する機能や、重複画像を排除する機能などもあるようです。
その他の検証
CasaOSやCockpitなどの外部ツールも導入可能だが…。
衝撃を受けたのですが、CockpitやCasaOSのようなツールもエラーが出ることもあるものの、インストールが可能です。
CasaOSは非常に豊富なDockerのアプリストアを導入できるツールです。
WindowsからDXP480T PlusにSSHで接続して、コマンドを打つことができるのですが、「Curl」から始まるCasaOSをインストールするためのコマンドを打つとほぼ一発でCasaOSをインストールできました。
CasaOSでインストールしたアプリは、UGREEN DXP480T Plus側のDockerアプリでも確認できます。
また、Cockpitもインストール可能です。Cockpitはサーバー管理ツールです。
ただ、どちらのツールもエラーが出たり不安定になったりするので、あまりおすすめはできないかもしれません。
例えばCasaOSですが、なぜかアプリが見えなくなってしまったりしました。また、CasaOSをインストールしているとUGREENのアプリストアのアプリがインストールできなくなってしまったため、泣く泣くCasaOSを削除したところ、インストールできるようになりました。
その他の使用感
設定のエクスポートやインポートも可能です。
冷却ファンのモード切替も可能になっています。
また、電源設定も可能で、パフォーマンス重視等の設定にすることもできます。
消費電力は28W〜35W程度
4つのSSDを搭載し、パフォーマンスモードですと大体これぐらいで推移します。
(2025/02/02時点で)ブートディスク用のイメージ的なものが配布されていない可能性?
UGREENのNASはブート用のディスクが最初から内蔵されていて、DXP480T Plusの場合はSSDが入っています。
QNAPやTerramaster※のNASの場合、ブート用のディスクを作るためのイメージを公式サイトなどからダウンロード可能なようです。
※なお、F8 SSD Plusの場合公式からダウンロードできるイメージではブート後の初回インストールがうまくいきませんが、とある有志の方が作成したイメージを使うとうまくいきました。
しかし、UGOS Proのブート用のイメージは配布されてなさそうなため、もしブート用のSSDをクローンを取らずにデータを消してしまったら、(2025/02/02時点では)UGOS Proを戻すことが困難になる可能性があります。
例えばOSを別のOSにしたりする場合や長期的に運用する場合は注意が必要かもしれません。
メリット
- 日本発売機種は早割価格では圧倒的コスパ
- 10GBEやTB4、オールフラッシュ対応などハード面は◯
- 使いやすいDebianベース?のソフトウェア
- USB接続の有線LANアダプタで2.5Gや10Gなど有線LANを増設できる
- LACPなどLAGにも対応している(しかし不安定な印象なので今後の改善が待たれるかも)
デメリット
- 純正アプリ以外は今のところ充実しておらず、Dockerでの導入が必要
- 中国メーカーである
その他のポイント
- 2024年初頭頃に発表された機種なので型落ち感もあるかも
- TB4はデータ転送や10G NICの接続には対応しているが、Thunderbolt NetworkingのようなP2P接続には現時点で対応していない
- CasaOSやCockpit自体は導入できるが、エラーが出ることもある。
- HDMIや同期機能など、改善されればさらに魅力が増しそうな機能もある。
あとがき
全体的に面白いNASだと思いました。
ソフトウェアは使いやすくて良いですが、リンクアグリゲーションや同期機能などをもっと改善してくれたらいいと感じました。
今後も検証を追加していきたいです。